プランナーのつぶやき ~花嫁の母の気持ち~
ウェディングプランナーをしていると、
その日の結婚式がめでたくおひらきになりホッとした瞬間は、次の週末の結婚式本番の1週間前カウントダウンのスタートでもあり。
いつも緊張感をもちながら、先をみて先をみて走り続けます。
(なので、1年過ぎるのがびっくりするぐらい速いんですよ、これほんとにw)
そんな落ち着くことなどない毎日の中でも、ひととき心が潤って、
よしまた頑張ろう!とパワーをもらえるのが、
挙式を無事におえられた新郎新婦様からの、
御礼や近況報告のお手紙をいただいた時。
有難いことに「お礼です♥」とプレゼントやお菓子などをいただけることも
本当に多くて感謝感謝なのですが、
お手紙をいただくのがほんっとうに一番といっていいぐらい嬉しかったりします。
間違いなく宝物です。すべてずーーーーっと大切にとってあります。
そんな、プランナーの疲労回復アイテムであり、
エネルギー源である「お手紙」ですが、
たまに差出人が「親御様」というケースもあるんです。
今回お話しするのは、花嫁様のお母さまから届いた挙式後のお手紙の話です。
(ディテールはアレンジしてます)
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拝啓 秋風の候 マルコ様にはますますお忙しくご活躍のこととお慶び申し上げます
先般、娘の結婚式に際しましては、真心からのご尽力をいただき、
誠に有難うございました。
当日は御礼もろくに申し上げず失礼致しました。本当に有難うございました。
結婚式の会場が決まってから、
打合せや衣装の下見、映像をつくる、音楽をえらぶ、二次会の準備がある、など、
貴重な土日の休みに忙しく出かけていく娘の姿に、
母親として嫁入り道具を一緒に整えたい私は、婚礼準備も思うにまかせず、
「最近の結婚式はこんなに準備や時間をとられるものなのかしら?」
とため息が出たのが事実です。
でも、その理由が、披露宴に出席し、感動的な演出と映像に接し、
はじめて「ああ、なるほど、こういうことだったのか」
とようやく納得することができたのでした。
結婚式当日の娘は、この上なく活き活きと幸福そうな様子でした。
これもすべてマルコ様はじめスタッフの皆様の真心のお陰と感謝しております。
今は写真の出来上がりを楽しみに家族全員が指折り数えて毎日を過ごしています。
末筆ではございますが、時節柄くれぐれもご自愛くださいませ。
次回再びご縁がございましたら(妹様のことですね)、
その節には今回同様、どうぞ宜しくお願い申し上げます。 敬具
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このお手紙をいただいたのは、まだ若手プランナー時代。
お母さまは「良い結婚式でした」というお礼を書いてくださっているのですが、
私はこれを読んで、とてもどきっとしたのを覚えています。
それから8年ほどたった今も、絶対に忘れられない手紙です。
何にどきっとしたのかというと、手紙内の赤字太字部分。
娘をお嫁に出す(あえてこういう言い方します<m(__)m>) 母親や家族の視点・気持ちをこれまで考えたことなどなかった
自分の仕事に気づいたからです。
私たちは「結婚式を成功させる」こと、「新郎新婦様の願いを叶えること」に
全力です。それはビジネスライクにいえば、ご契約者本人は新郎新婦様なので
当たり前といえば当たり前です。
でも、本当にそれだけで良い結婚式になるのだろうか?と
考えさせられたのです。
結婚するということは、「素敵な結婚式をあげる」ということだけじゃない。
「産まれてからこれまで大切に育ててきた娘がいよいよ家を出る」
「今までずっと一緒だった兄弟姉妹となかなか会えなくなる」
「幸せな結婚生活のスタートがきれるように十分に準備してやりたい」
「平日は仕事で疲れている娘が、家事をせずにただのんびりできる土日は最後かも」
花嫁の家族の視点にたつと見えないものが見えてきます。
この親御様やご家族の気持ちは、プランナーはもちろん、
もしかすると花嫁様自身も知りえないものかもしれません。
私はこのお手紙をいただいてからというもの、
結婚式準備が新郎新婦様にとって必要以上に負担にならないように
(家族との時間や、娘・息子としてつくれる思い出作りの時間が増えるように)
スケジューリングの効率化や的確な即レス即対応を徹底すること。
何かを決めて進めるときに「親御様はどう感じておられるだろうか?」という視点をいつも忘れないこと。
に注意してプランナーの仕事をするようになりました。
今回は、とても大事な気付きをいただいたお手紙を紹介しました★★★
結婚式が大切な家族との繋がりを再確認できる場でもあることを願います♪♪